作品№48

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今回の作品は、「読書=思索共同」です。要するに、私なりの読書論です。

誤読上等

私は基本的に、本を読んだ後に、読書感想をブログに載せるのですが、そしたら、コメント欄に「その解釈は間違っている・その読み方は間違っている」というコメントが、まだ届いたことはないんですけど、いつか届きそうな気がしています。ただ、だからといって、不安になる気持ちは全くありません。指摘されたら「まあ、指摘されたなぁ」ぐらいで終わると思います。

”自分”がどうするか

それというのも、そもそもその本を完璧に理解して読むということは不可能だと思いますし、本を書いている人だって人間ですから、必ずしも読者に伝わるように書けているとは限りません。むしろ、自分が何を思ったか、それをきっかけに、自分がどう行動するか、ということの方が大事だと思います。

悪意のある解釈はダメ

もちろん、作者が言ってないことを、「この人はこう言ってます」みたいに言っちゃうと、それは嘘になるから駄目ですよ。あるいは作者への誤解を生むような間違い方をしたり、意図的に誤解を生むような説明をしたりっていうのは良くないんですけど、でも、自分なりの解釈の仕方であったり、今の自分の現状に照らし合わせて考えた結果、自分の意見として書くなら、それは別にいいんじゃないかなと思います。むしろ、そうやってこそ、新しいものが生み出されていくのではないでしょうか。

本の言いなりになっては駄目

そもそも、正確に読まないといけない、なんて縛りがあると、「本を読もう」という気持ちも失せますし、何より、ただ書いてある通りに忠実に読むだけだと、それはその本の言いなりになっているだけです。「この本にこう書いてあったから、自分はこういう行動をしました」、こんな態度だと、仮にその本が自分に利益を与えてくれる内容なら問題ないのですが、逆にその本が自分に悪影響を与える内容だったら、むしろ逆効果になっちゃいます。思想が偏ってしまったり、今の自分の境遇にはそぐわない行動をしてしまったり、自分の条件には当てはまらない努力をしてしまったり。

読書はあくまで補助

そうならないためにも、その本に書いてあることを、ただ受けとるのじゃなくて、その本を越えていかなければなりません。読書はあくまでも、自分を助けてくれる仲間であって、答えではないのです。これが私の読書論です。

元ネタはご本尊

さて、それを踏まえた上で、この絵の解説に入ろうと思います。正直、パッと見た感じでは、何を描いてるのかよく分からないですよね。ですので、元ネタを紹介します。

この絵は、仏壇にある掛け軸、正確にはご本尊、になぞられています。

要するに、これが私の師匠なわけですね。この絵は私が師匠を敬う気持ちを表しているのです。先ほどの話の続きでいうと、私が本を読む時に、その本に対して抱いている感情です。「これから勉強させて頂きます。でも、あなたの言いなりになるわけではありませんよ。あなたを越えることで、本当の意味で自分のものにしていきます。」これが私にとっての読書なわけです。

私の心の師匠

ちなみに、私にとっての師匠を一人挙げさせて頂くと、私のチャンネルにもしばしば出てくる、西田幾多郎さんです。タイトルの「思索共同」というのも、ある意味では、西田さんを象徴する言葉です。

思索共同

思索の共同ですから、1人で部屋にこもって考えるなんてことはありません。みんなで共有しあう。読書も同じですよね。様々な人が、自分の考えを本に書いて、「皆さん、私の考えたことを聞いて下さい」と世にだす。私たちは、その本を読むことで、様々な人の意見に触れていく。かくして、自分の考えを深めていくわけです。これが思索です。だから「読書=思索共同」なのです。

最後は自分

そして、共同という以上は、ただ単に周りの意見に流される のではなくて、自分もしっかりそこに参加しなければいけない。自分とみんなで力を合わせるから、共同です。そのためには、多様な意見に触れながらも、最終的にはそれらを越えていく、という志しが必要です。越えないことには、ただ相手の言いなりになってるだけですから。ここに、思索の結晶があります。

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様式解説

1

西洋絵画史の始まり 西洋絵画史の精神は「人間性の自覚」にある、というのが私の基本的な考えの立場です。そのため、当ブログでは、初期ルネサンスを西洋絵画史の始まりとします。 舞台 フィレンツェ 初期ルネサ ...

2

舞台 ローマ 1492年、芸術文化を支えたロレンツォ・デ・メディチの没後、「フィレンツェ」は、ドメニコ会修道僧サヴォナローラの支配下に置かれ、やや停滞期を迎えます。その一方で、ユリウス二世に代表される ...

3

舞台 ヴェネツィア ローマで盛期ルネサンスが盛り上がりを見せていたその頃、東方とヨーロッパを結ぶ貿易で富を蓄積したヴェネツィアでは、別のルネサンスが誕生していました。一般に、ヴェネツィア派と呼ばれるも ...

4

舞台 アルプス以北 イタリアでルネサンスが盛り上がりを見せていたその頃、アルプス以北の国々でも独自の流れが形成されていました。イタリア・ルネサンスと区別して、北方ルネサンスと呼ばれます。 背景 市民階 ...

5

舞台 国際的な展開 イタリアに端を発したマニエリスムは、16世紀後半には国際的な広がりを見せます。 背景 反宗教改革に乗り出す カトリック教会が「反宗教改革」に乗り出す時代、「神秘的な表現」が求められ ...

6

舞台 フランス 太陽王ルイ14世が主権権を握る「絶対王政期」のフランスもまた、芸術の舞台となりました。自国の土壌で独自の様式を形成して行きます。 背景 フランスへ輸入 イタリア起源のバロックは、国境を ...

7

舞台 フランス 絵画史の中でも、特にロココは時代区分の難しい様式です。そもそもロココとバロックの区分を認めない説もあります。そのため当ブログでは、ロココの特徴が最も顕著に現れている、フランスで展開され ...

8

舞台 フランス 革命期からナポレオン時代にかけてのフランス。ナポレオンは絵画を、自らの理念の「プロパガンダ」として活用しました。そのため、絵画は記録的な意味合いを強めます。 背景 軽快なロココに対する ...

9

舞台 フランス 革命期から王政復古期にかけてのフランス。新古典主義が絵画の主導権を握っていた一方で、その「静的で厳粛な様式」は、人の心を真に動かす力に欠けていました。そんな中、絵画に再び「動き」を取り ...

10

舞台 フランス 第二帝政期、パリの都市改革を始め、社会構造の大きな転換があったフランス。都会人の新しい生活様式などが誕生しました。 背景 産業革命・資本主義の時代 19世紀後半、いよいよ「産業革命」の ...

11

舞台 フランス フランス美術は西洋絵画史の主要舞台の座を確立しました。イギリス風景画の伝統もスペイン画家ゴヤの系譜もフランスに吸収され、オランダ画家ゴッホもこの地での修行を得て覚醒しました。 背景 印 ...

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舞台 フランス 印象派に続き、フランスが芸術の中心地として君臨しています。 背景 印象派の乗り越え 時代の寵児であった印象派も、1886年には最後の展覧会を迎え、いよいよ批判と反省の対象として乗り越え ...

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一般に、スーラ・セザンヌ・ゴーギャン・ゴッホの四天王を総称して後期印象派と呼ぶことが多いです。しかし、当ブログでは個人的な趣きもあって、新印象主義(スーラ)・セザンヌ・後期印象派(その他の画家)という ...

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印象派に並行して、象徴主義が発展 舞台 フランス 象徴主義は各国において多様な発展を遂げました。中でも大きな影響を与えたのは、フランスにおいて展開された象徴主義です。 背景 もう一つの芸術運動 19世 ...

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著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」・「非営利目的」を徹 ...

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著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」を徹底した上で、当記 ...

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著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」を徹底した上で、当記 ...

-令和四年作品, 哲学