今回の作品は、「資本主義の動力源」です。言わずもがな、現代は資本主義の時代。お金がお金を生む時代です。お金があれば、何でも買える、不思議な時代。でも、普通に考えて、そんな魔法はないわけです。その裏には、それを成立させるための、血と涙の結晶があります。それが資本主義の動力源です。
私たちは、朝も昼も夜も問わず、お金さえ払えば、いつでもご飯にありつけます。少し余裕のある人でしたら、自分の家にご飯を持ってこさせることだって可能です。何を食べるかだって、選び放題。
ご飯のお供に、テレビやネットを楽しみます。おっと、テレビの調子が悪いようです。そんな時は、24時間カスタマーセンター。相手の聞き入れが悪い時は、お金をちらつかせましょう。「俺は、私はお客様だぞ」こういえば、大概のことは自分の意のままです。あれっ、修理代が結構するなあ。そんな時は、もっと安いところを選びましょう。もっと安く、もっともっと安く、すると、あら不思議。あらゆる物が安く手に入ります。
一方そのころ、コンビニ店員aさんは寝不足のようです。断れない性格の彼は、人手の足りない深夜のコンビニを、今日も24時間稼働させるために、頑張っています。
心を痛めながら何かを運んでいる、スーパーの店員bさん。運んでいるのは、廃棄されるお弁当のようです。「棄てるのが分かっているのに、なんでこんなに発注するのだ。」彼女の本音がついポロリ。
それが聞こえてしまった店長cさん。品切れを起こすと、神様にぶちギレられてしまうのだ、と大人の事情を話すわけにもいかず、一人で抱えこんでしまっているようです。
とある企業の社長dさん。他社との価格競争に敗れ、大変困っていました。そんな時に、秘策を思いつきます。「下請け会社に値下げしてもらえばいいのだ。その分だけわが社は安く提供できる」
とある下請け会社eさん。これ以上値下げさせられたら、いよいよ倒産してしまう。でも、この取引先を失ってしまったら、どのみち倒産だ。と絶望していました。そんな時に、秘策を思いつきます。「そうだ、従業員にもっともっと働いてもらおう。給料を上げさえしなければ、その分会社の利益になる。これで倒産を免れるぞ」
とある会社員fさん。「残業は増えるけど給料は増えない」、そんな自虐ネタが、飲み会の定番になっているようです。家族との時間を大切にしたくても、そんな余裕はなく、転職しようにも、スキルに乏しい彼には、他に選択肢などないのでしょう。
fさんの妻、gさん。「夫は仕事ばかりで家庭を省みない。」これまた、お茶会での定番ネタになっているようです。
こんな社会はおかしい、と声をあげる活動家hさん、彼は周りの人から、めんどくさいやつ、変わったやつ、やばい思想の持ち主、と距離を置かれているそうです。
ありがたいことに、このようなガソリンのおかげで、私たちは資本主義という魔法が使えるのです。