作品№51

今回の作品は、「哲学の根本的立場―他力哲学」です。他力、他の力というと、何か他人任せみたいなイメージを持たれるかも知れませんが、そうではなくて、他力というのは、自分一人の力では生きられない、という意味です。それを自覚するために一番手っ取り早いのは、水中に潜ること。自分一人だけの力で生きているならば、水中だろうがどこだろうが関係なしに生きられるのでしょうが、実際には、そうはいきませんよね。人間には酸素が必要ですし、この酸素というのは自分一人だけのものではありません。みんなで共同で使うものです。つまり、私たちは世界を共有しあっているわけです。だからこそ、何をするにしても、自分一人の思い通りには行きませんし、その背後には必ず、みんながいる。このみんなという存在を無視して、自分一人のことしか考えないようでは、その哲学はおそらく通用しません。哲学の大前提として、みんなという視点は欠かせないのです。だからこそ、哲学の根本的立場は、他力哲学なのです。

様式解説

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-令和四年作品, 西田哲学