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一般に、スーラ・セザンヌ・ゴーギャン・ゴッホの四天王を総称して後期印象派と呼ぶことが多いです。しかし、当ブログでは個人的な趣きもあって、新印象主義(スーラ)・セザンヌ・後期印象派(その他の画家)という風に細分化しています。
舞台
フランス
印象派に続き、フランスが芸術の中心地として君臨しています。
背景
時代背景は主に新印象主義と同じです。
印象派の乗り越え
時代の寵児であった印象派も、1886年には最後の展覧会を迎え、いよいよ批判と反省の対象として乗り越えられる存在になります。
物の形を犠牲にした印象派
「分析的な手法」を得意とした印象派は、物の「形態感」や「存在感」を失ってしまうという欠点を抱えていました。
新たな活路
印象派の色彩理論に共感しつつもこの弊害を重く見た後代の画家たちは、ここに新たな活路を見出します。
特徴と画家
色彩に着目
「光」・「形」と並んで、絵画にはもう一つ重要な要素があります。それは「色彩」です。
色彩は、人々の感情に直接働きかける力を持っていました。
ゴーギャンの総合主義
そこに注目したのがゴーギャンです。ゴーギャンは「自然」や「女性たち」を「幻想的な色彩」で描きました。
ポール・ゴーギャン|1848−1903|フランス
ゴーギャンは、感覚に傾倒した印象主義の現実描写に異を唱えました。そして、「鮮やかな色彩」を「単純化された輪郭の中に平塗」するという技法によって、「想像力の生み出す観念」や「抽象的な気分」を描き出す、「総合主義」を確立させます。
「主観的な色彩の強調」・「明確な輪郭線」・「広い色面による構成」・「音楽的な画面処理の態度」が総合主義の主な特徴です。
原始生活への回帰
西洋文化の虚偽と退廃を憎むゴーギャンは、原始的な生活に自由と真実を求めます。そして彼は実際にタヒチなどの南太平洋の島々に移り住み、原始的な生活を営みました。
しかし期待とは裏腹に、ここでの暮らしはゴーギャンを理想と現実のギャップで苦しめます。
一方で、物質的にも精神的にも悲惨なこの環境での暮らしは、結果的に、ゴーギャンの掲げる「総合主義」に豊かな円熟をもたらしました。
ゴッホによる強烈な色彩の対比
ゴーギャンと並んで、ゴッホも色彩に注目した一人です。彼もまた印象派や新印象主義に学び、その批判と反省を通じて、新時代を切り開こうと試みたのです。
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ|1853−90|オランダ
彼は単に外観を意識した視覚表現には満足せず、「強烈な色彩の対比」等といった手法によって、「精神の高揚」・「不安」・「激情」などの「内的な精神」を表現しました。
不安に満ちた激しい内面世界
ゴッホは伝道師など複数の職業を経験した後、最終的には画家として、絵画によって「宗教的感情」を伝える道を選びました。「不安に満ちた彼の激しい内面世界」は、この動機に由来しています。
線の活用
ロートレックも、印象派に学んだ後、批判と反省によって独自の世界を開拓したという意味では、後期印象派に分類出来ます。
トゥールーズ=ロートレック|1864−1901|フランス
彼は、「室内光線の表現」や「線による人物の個性描写」などによって新しい世界を提示しました。
参考文献
美術史〈西洋〉|編・中山公男 中森義宗|近藤出版社
西洋美術史|監修・高階秀爾|美術出版社
西洋絵画史入門史|著・諸川春樹|美術出版社
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2025年4月4日
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2025年4月4日
西洋絵画−ドイツ表現主義
著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」を徹底した上で、当記事の作成に望んでいます。 舞台 ドイツ これまでフランスに押され気味であまり活躍の場がなかったドイツでしたが、遂に自国を始点とする芸術運動の波風が立ち始めます。というのも、「近代化」を急激に進めて行ったドイツでは、それだけ社会に対する不満も生まれやすく、「苦しみを表現する画家」たちを産むには最適な土壌だったか ...
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