舞台
アルプス以北
イタリアでルネサンスが盛り上がりを見せていたその頃、アルプス以北の国々でも独自の流れが形成されていました。イタリア・ルネサンスと区別して、北方ルネサンスと呼ばれます。
背景
市民階級の台頭
15世紀のフランドル地方では、「毛織物工業」と「国際貿易の振興」に伴って「市民階級」が台頭して来ました。
ありのままを描く
それに呼応するように、「風景画」や「風俗画」なども受け入れられるようになります。
イタリア・ルネサンスでは「古典美」を理想の範としたのに対し、北方ルネサンスは自然や人間の姿を「ありのままに描く」写実的な傾向を進行させて行ったのです。
相乗効果
その後も両者は互いに影響を及ぼし合いました。
特徴と画家
現実生活が主な題材に
イタリアでは遠近法などに代表される、「合理的な人体」・「空間表現」が追求されたのに対し、むしろ現実生活を視野にいれた「写実表現」が追求されます。
大げさな動作や表情は避けられ、「静的」な中に「現実感」が捉えられました。その代表的な画家が、ファン・エイクです。
ヤン・ファン・エイク|1390−1441|フランドル
また、彼の用いた「油彩技法」によって写実性は格段に飛躍し、絵画は現実的な迫真性を持つことが出来るようになりました。
突如表れた異端画家
北方では植物や動物をありのままに表現する、「写実性」に目覚めつつありました。その代表的な一人である画家ボスは、動物や鳥、荷車などの「日常的な存在」と「中世的な魔物」とを自在に組み合わせました。
ヒエロニムス・ボス|1450頃−1516|ネーデルランド
人間や奇怪な生物群が織りなす一大ドラマによって、彼独自の「小宇宙像」が作り出されています。
リアリスムの追求
「働く農民」の姿や、その生活様式を克明な写実表現で生き生きと描き出し画家には、ブリューゲルがいます。
ピーテル・ブリューゲル|1525頃−69|フランドル
イタリアの人文主義では、人間は「礼賛」的な存在の如く主人公にそえられていましたが、北方画家の彼らは、むしろ「堕落」を人間の本質に据えました。
参考文献
美術史〈西洋〉|編・中山公男 中森義宗|近藤出版社
西洋美術史|監修・高階秀爾|美術出版社
西洋絵画史入門史|著・諸川春樹|美術出版社
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