
いざ説法を決意した釈尊の頭に最初に浮かび上がったのは二人の師でした。彼らほどの実力者なら、自分の教えを理解してくれるだろうと期待したのです。しかしその二人の師はすでにこの世から旅立っていました。

そこで釈尊は五人の仲間を思い出します。彼らはかつて釈尊と苦行生活を共にした仲間でした。まずは彼らに法を伝授しようと考えたのです。

しかし五人の仲間は釈尊を拒みました。彼らにとって釈尊は苦行生活を途中で投げ出した裏切り者だったからです。

それでもかつては苦を共にした仲間、彼らにも迷い・情けがありました。

いつまでも無視することはできず、彼らは釈尊に「友よ」と呼び掛けるのです。

ところが釈尊の反応は意外なものでした。なんと釈尊は自らを「友」ではなく「如来」と呼ぶように申し付けたのです。如来とは「真実の世界からやって来た者」という意味。釈尊は自らを、真実を開拓したものと名乗ったのです。

続けて釈尊はかつての仲間たちに自らの得た真実の法を説きました。それは数日に渡ります。

いよいよ五人の仲間たちも 釈尊と同じ境地に達したのです。

それからというもの彼らは分散して、また定住もせずして伝道に励みます。その甲斐もあって仏教は広く普及していきました。また帰依する人々の中には各種族の王の顔もありました。