
今回の作品は、「口実化される精神生活」です。ここでいう精神生活は、たとえば仏教でいう悟りのようなものをイメージしてもらうといいでしょう。悟っている人というと、何があっても動じない、嫌なことをされても全く気にならない、そもそも眼中にない、全てをポジティブに捉えられる、こんな感じですよね。このような不動の精神を手に入れられれば、たしかに幸せな人生を送れそうです。ただ、これは自分一人だけの幸せを考えるならそれでいいのですが、社会という枠組みで考えると、少々まずい気もします。言われたことを何でも素直に受け入れる、たとえば、税金が上がれば素直に払って、こうしなさいという制度が出来れば素直に従う、その挙げ句の果てには、お国のために死にましょう、なんてこともあるかも知れません。こういった状況を素直に受け入れるだけだと、かえって悪に加担してしまいます。そうなると、悟りはただの言い訳の材料になってしまう訳です。