今回の作品は、「正義に数字はないということ」です。これまた、風刺画です。
よく、「みんながこう言っているからあなたもこうしなさい。」とか、「みんながこうしているから自分もそうしよう」みたいに、人数の大小を根拠に、物事を決めること、ありますよね。自分だけ違う意見を持っていると、何だか罪悪感を感じたり、それを隠そうとしたり。でも、そもそも人数の大小には、それだけの説得力があるのでしょうか?100人が言っているから正しいに決まっている、と自分の中で思い込んでいても、もっと広く周りを見てみると、200人が真逆のことをいっているかも知れない。今の時代の人がみんな正しいといっていても、未来の人から見たら、「それおかしい」なんてこともあるはずです。現に、今の時代では考えられない昭和の事件なんて動画も、よくYouTubeで上がっていますよね。「昔は地上波でピーが見れた」とかいって。昭和では何でもなかったものが、平成では否定され、令和ではまた風向きが変わるかも知れない。このように、千人集まろうが一万人集まろうが、広い目で見れば、それは無に等しいのです。結局のところ、みんなで間違える、なんてこともあるわけですから。
もっというと、仮に100人がこれが正しい、と言っていても、実際に自分の考えを持っている人は一人しかいないかも知れない。じゃあ残りの99人は?というと、周りがそういってるから自分もそう思う、という風に、思考停止してしまっている状態。これだと、表面的には100人の意見だとしても、実質は一人の意見ですよね。後の人は、一人の意見に従っているだけ。そうであれば、なおさら人数は関係ないということになります。この絵はまさに、そのような状況を風刺しています。
右側の人たちは、思考停止してしまっている状態、自分で考えない状態、だから頭がありません。行く先は崖にも関わらず、集団の波に飲まれて、真っ直ぐ進んで行きます。
この人は、まだ半分自分の意思が残っている状態、まだ助かりようがある、だからこの人は、必死に食い止めています。
この人は確固たる信念を持っています。だから、たとえ一人だけだったとしても、迷いはありません。崖に落ちていく人々を冷静に見ています。
なんか、こんな風刺画を描いている私って、性格が悪いですね。ちょっとでも性格をよく見せたいので、絵は可愛らしくしました。点々の模様で、ほんわかします。でも、崖の下はドロドロ。やっぱり性格が悪いようです。