今回の作品は、「煩悩は絶てない」です。よく「煩悩を捨てろ」とか、「煩悩に惑わされるな」なんていいますけど、この「煩悩を捨てたい」という欲求自体が、すでに煩悩といえます。「煩悩を捨てたい」という煩悩です。なぜ煩悩を捨てたいのか?今の苦しみから逃れたいから、煩悩を手放すと楽になれると聞いたから。このように、苦しみから逃れたい・楽になりたい、という欲望を持っている限り、それは結局煩悩なのです。もちろん、苦しみから逃れたい・楽になりたい、という気持ちを否定するつもりはありません。それは人間である限り当然のものです。だから、煩悩を捨てることが出来ない、と悩む必要はなくて、煩悩なんて捨てられないものだ、と割りきるのもありなのかも知れません。