作品№60

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概念を創造

ここからさらに詳しい解説に入ります。ドゥルーズの本をいくつか読んだことのある方は、すでにご存知かも知れませんが、彼の本の中で、頻繁に出てくる言葉があります。それは「概念を創造する」というもの。概念っていうのは、たとえばここに色鉛筆がありますよね。これを色鉛筆と認識出来ているのは、私の中に色鉛筆という概念が存在するからです。ここに鉛筆があるっていうのも、鉛筆という概念があることによって、鉛筆と認識出来るわけです。仮に鉛筆という概念がない状態、つまり鉛筆を知らない動物が、この物体を見ても、これで字を書こうとは思わないですよね。これが何なのかを認識することは出来ないはずです。私たちには概念があるからこそ、物を認識出来ているのです。

太陽の比喩

ちなみに、概念があることによって、物を認識できる、実はこれもイデア論の一つです。これを絵にしたのが、三枚目の作品「イデア(太陽)」です。唐突な三枚目の紹介で、びっくりされた方もいると思うんですけど、これを知っておくことで、ここからの話がより理解しやすくなると思いますので、簡単に説明しておきます。

太陽というのは、イデアの比喩としてよく用いられるもので、たとえば、私たちが物を見ることができるのは、太陽の光があるからだ。太陽の光がなければ、真っ暗で何も見えませんから、当然物を見ることなんてできないですよね。それと同じで、概念すなわちイデアがあることによって、私は物を見ることができ、物は私に見られることができるのだ、ということです。冒頭では、本当にざっくりと、「イデア=真理」と説明しましたが、ここまで動画を見て頂いた皆様は、せっかくですから、「イデア=真理を照らす太陽」というイメージに書き換えておいて下さい。

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様式解説

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-令和四年作品