作品№60

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概念を創造

ここからさらに詳しい解説に入ります。ドゥルーズの本をいくつか読んだことのある方は、すでにご存知かも知れませんが、彼の本の中で、頻繁に出てくる言葉があります。それは「概念を創造する」というもの。概念っていうのは、たとえばここに色鉛筆がありますよね。これを色鉛筆と認識出来ているのは、私の中に色鉛筆という概念が存在するからです。ここに鉛筆があるっていうのも、鉛筆という概念があることによって、鉛筆と認識出来るわけです。仮に鉛筆という概念がない状態、つまり鉛筆を知らない動物が、この物体を見ても、これで字を書こうとは思わないですよね。これが何なのかを認識することは出来ないはずです。私たちには概念があるからこそ、物を認識出来ているのです。

太陽の比喩

ちなみに、概念があることによって、物を認識できる、実はこれもイデア論の一つです。これを絵にしたのが、三枚目の作品「イデア(太陽)」です。唐突な三枚目の紹介で、びっくりされた方もいると思うんですけど、これを知っておくことで、ここからの話がより理解しやすくなると思いますので、簡単に説明しておきます。

太陽というのは、イデアの比喩としてよく用いられるもので、たとえば、私たちが物を見ることができるのは、太陽の光があるからだ。太陽の光がなければ、真っ暗で何も見えませんから、当然物を見ることなんてできないですよね。それと同じで、概念すなわちイデアがあることによって、私は物を見ることができ、物は私に見られることができるのだ、ということです。冒頭では、本当にざっくりと、「イデア=真理」と説明しましたが、ここまで動画を見て頂いた皆様は、せっかくですから、「イデア=真理を照らす太陽」というイメージに書き換えておいて下さい。

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様式解説

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8

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舞台 フランス 第二帝政期、パリの都市改革を始め、社会構造の大きな転換があったフランス。都会人の新しい生活様式などが誕生しました。 背景 産業革命・資本主義の時代 19世紀後半、いよいよ「産業革命」の ...

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一般に、スーラ・セザンヌ・ゴーギャン・ゴッホの四天王を総称して後期印象派と呼ぶことが多いです。しかし、当ブログでは個人的な趣きもあって、新印象主義(スーラ)・セザンヌ・後期印象派(その他の画家)という ...

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印象派に並行して、象徴主義が発展 舞台 フランス 象徴主義は各国において多様な発展を遂げました。中でも大きな影響を与えたのは、フランスにおいて展開された象徴主義です。 背景 もう一つの芸術運動 19世 ...

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著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」・「非営利目的」を徹 ...

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-イデア, 令和四年作品, 哲学