作品№26

元ネタ

今回の作品は、「2022年5月2日<平和活動>」です。

この絵とタイトルを見て、ピンと来た方もいるかも知れませんが、この絵の元ネタは、ゴヤの「1808年5月2日、マドリード」です。あっ、間違えました、これは私の下手な模写です。

こちらですね。これを壁画っぽくリメイクしたのが、今回の作品です。

マニエリスム

壁画っぽくしつつも、実は私が一番この絵でこだわったのは、人体表現です。いわゆる「マニエリスム」を取り入れて、現実にはありえない、体の動きをさせています。*マニエリスムについてはこちらの記事で解説しています

「マニエリスム」というのは、芸術様式の一つで、ルネサンスやバロックは皆様も学校の教科書で聞き馴染みがあるかと思いますが、ルネサンスとバロックの間の時期が、一般的にマニエリスムといわれます。場合によっては、マニエリスムもルネサンスの一部、なんて言われますけど、今回はここの詳細は省きます。

「マニエリスム」の代表的な画家は、ミケランジェロやエル・グレコです。こちらが有名な絵ですね。また間違えました、これは下手な模写です。

こちらですね。このように、誇張された身体の動きが特徴です。こんなポーズは現実にはあり得ませんが、自分の表現を優先した結果です。今回の私の作品でも、このマニエリスムを援用して、現実にはあり得ないポーズを取らせています。

誰だって、本当は戦争したくない

では、そこまでして私がこの作品で表現したかったものは何か?それは彼らの本音です。足は前を向いているけど、体はのけぞっている、要するに、「私は本当は銃を打ちたくないです」っていう彼らの心情を表しているのです。

これは実際にそうだと思います。戦争をさせられている兵士だって、本当はそんなことしたくないと思っている。でも、やらなくちゃいけない。平和のための戦争だから。「戦争反対」なんていおうものなら、この「理想主義者が」とか、「綺麗事」「机上の論理」といわれる今の社会情勢では、決して口にすることの出来ない本音を、身体の動きによって表しているのです。

ルネサンスの技法

ちなみに、「身体の動きによって心情を表す」というのは、マニエリスムではなく、その前のルネサンスの時代に発明された表現技法です。サイゼリアでお馴染みのボッティチェリや、レオナルド・ダ・ヴィンチが特に有名です。ユダの「しまった、バレた」という心の声が、身体の全身に表れています。

こちらも、「恥ずかしい」という心の声が聞こえてきます。

壁画チックな絵の描き方

さて、最後に、余計なお世話かも知れませんが、この作品のように、壁画チックな絵を描くコツを三つ紹介したいなと思います。ちなみに、私が手掛かりにしたのは、古代エジプトの壁画です。こちらは本家の絵を見つけてくるのが難しかったので、私の模写で我慢して下さい。

原色を使う

ポイント一つ目、それは原色を使うこと。原色とは、色んな色を混ぜて、自分の理想の色を作っていくのではなく、その色をそのまま使うということです。たとえば、赤と青を混ぜて紫をつくるんじゃなくて、赤、青をそのまま使うということ。これはゴーギャンなんかが使っていた手法です。

幾何学的図形

二つ目のポイントは、直線とか円といった、幾何学的な図形を入れる、ということです。緑色なんかで着色すると、ますますエジプトの壁画っぽくなります。

細かく描かない

そして最後は、細かい線は書かないということです。服のシワとか、影は書かずに、基本一ヶ所につき、一色で塗ると、壁画っぽい絵が描けます。まぁ、そもそもそんな絵を描きたいとも思わないでしょうが。

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